企業内会計士の日々

企業内会計士(管理職)として、日々の質問対応結果(会計・税務中心)を記事にするブログです。同じことで悩んだ人の役に立てればと思ってます。たまに、書評や日々のアイデアも記事にします。

【会計】厚生年金基金が解散する場合の会計処理

 

【会計】厚生年金基金が解散する場合の会計処理

 

質問内容:厚生年金基金確定給付年金制度(複数事業主制度))が解散する場合の会計処理はどのようにするのか

加入している厚生年金基金確定給付年金制度(複数事業主制度))が解散することになりました。

この解散に伴い、基金から追加的な拠出が求められることになりました。

そこで、この追加的な拠出はどのように会計処理をすべきかとの質問がありました。

なお、前提として、基金については、退職給付会計基準第33項(2)に基づき確定拠出制度に準じた会計処理(例外処理)を行っています。

 

質問への回答:厚生年金基金解散損失引当金を計上します。

例外処理を採用していた厚生年金基金確定給付年金制度(複数事業主制度))における解散又は脱退の場合で、解散又は脱退に伴い追加的な拠出が求められる場合には、追加拠出額を当期の費用(原則として、特別損失)として会計処理し、厚生年金基金解散損失引当金等の適切な科目を持って会計処理する必要があります。

具体的には、基金の代議員会で解散の議決を得たのち、厚生年金基金から追加拠出額(見込み)の通知が会社に来るため、当該通知に基づき会計処理することになります。

回答理由・根拠 

今回の会計処理については、「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」Q10に、その内容・理由が記載されています。

詳細を確認されたい方は、そちらをご確認ください。

 

<参考:「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」Q10

Q10 例外処理を採用していた確定給付年金制度(複数事業主制度)における解散又は脱退の場合の会計処理は、どのように行うか。

A 例外処理を採用していた確定給付年金制度(複数事業主制度)における解散又は脱退(規約型における解除を含む。以下同じ。)の場合(ただし、他の確定給付型の退職給付制度へ移行する場合を除く。)についても、原則法を採用していた場合と同様に、退職給付制度の終了の時点で認識される損益を、適用指針第 1 号第 10 項(退職給付制度の終了の会計処理)に準じて会計処理する。したがって、一般には、解散又は脱退に伴って追加的な拠出が求められる場合に、当該要拠出額を費用として処理することとなる。
なお、基金型にあっては代議員会の議決を得たこと、規約型にあっては従業員の同意を得たことにより、翌期以降に解散又は脱退による損失の発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当該損失見積額を当期の費用(原則として、特別損失)として計上し、厚生年金基金解散損失引当金等の適切な科目をもって処理する必要がある(退職給付に係る負債を計上している場合には、当該退職給付に係る負債に含めて処理することができるが、当該損失見積額に重要性が乏しい場合を除き、その旨及びその金額を注記する必要がある。)。
また、上記なお書きに従って当該損失見積額を処理することが求められるときを除き、解散又は脱退による損失の発生の可能性が高いか、又は、可能性がある程度予想される場合(注)には、当該解散又は脱退が翌期以降の財務諸表に与える影響額(影響額の見積りが不可能な場合には、影響額に代えてその旨)を当期の財務諸表に注記することが必要である。
(注) 損失の発生の可能性は、①高い場合、②ある程度予想される場合、③低い場合があり、また、それぞれ金額の見積りが可能な場合と不可能な場合があり得る。このような考え方については、日本公認会計士協会 監査委員会報告第 61 号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」4(3)が参考となる。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。