企業内会計士の日々

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【会計】減損会計 将来の用途を定めるために必要と考える期間について

 

【会計】減損会計 将来の用途を定めるために必要と考える期間について

減損会計における遊休資産の考え方について質問がありましたので、その検討結果を報告します。

 

質問内容:遊休資産の別用途での利用の検討期間は、どの程度の期間まで認められますか

遊休資産となっている工場跡地(土地+建物)があります。

当工場跡地(土地+建物)については、売却する意思はなく、別用途での利用を検討しています。

しかし、土地利用基本計画に基づく利用規制があることもあり、なかなか別用途での利用方法が決定できず、遊休となった時から約4年ほど経過してしまいました。

そこで、工場跡地(土地+建物)が、減損会計における遊休資産となり、減損の兆候に該当するのかとの質問がありました。

 

質問への回答:検討期間は、概ね1年程度です。

担当の公認会計士や私の友人・知人に聞いたところ、「将来の用途を定めるために必要と考えられる期間」とは、遊休資産となったときから1年程度であるとの回答が大勢でしたので、今回は1年程度と回答しました。

回答理由・根拠

質問の対象となった工場跡地(土地+建物)については、現在利用していなのであれば、原則的には遊休資産に該当します。

ただし、現在は別用途の利用の検討をしているため、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」85項のなお書きが該当することになります。

 

85. 資産又は資産グループが遊休状態になり、将来の用途が定まっていない場合も、その使用範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化に該当する(第 13 項(4)参照)。これには、例えば、設備の操業を停止し、その後の操業開始の目途が立っていない場合などが含まれる。
なお、現在の遊休状態が、資産をほとんど利用しなくなってから間もない場合であって、将来の用途を定めるために必要と考えられる期間にある場合には、減損の兆候に該当しないと考えられる。

 

そのため、85項のなお書きでの「将来の用途を定めるために必要と考えられる期間」がどの程度まで許容されるかの判断が問題となることなります。

色々と確認した結果、結論としては「将来の用途を定めるために必要と考えられる期間」とは1年程度となりました。理由は、下記の通りです。

色々と調べてみたのですが、「将来の用途を定めるために必要と考えられる期間」を明確に記載した文献はありませんでした。(当たり前ですよね)

そこで、担当の会計士や私の友人・知人に聞いたところ、「将来の用途を定めるために必要と考えられる期間」とは、遊休資産となったときから1年程度であるとの回答が大勢となりましたので、今回は1年程度と結論付けました。

なお、今回の事例は、金額的には大きな固定資産ですが、会社の規模からするとそこまでも大きな金額ではなかったため、あと1年以内で用途等を決定することを条件に、今年度は遊休資産としないとの判断になりました。

 

別意見等がありましたら、情報を頂けると幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。