企業内会計士の日々

企業内会計士(管理職)として、日々の質問対応結果(会計・税務中心)を記事にするブログです。同じことで悩んだ人の役に立てればと思ってます。たまに、書評や日々のアイデアも記事にします。

【会計処理】資産除去債務について(計上後に売却した場合の会計処理)

 

【会計処理】資産除去債務について(計上後に売却した場合の会計処理)

資産除去債務を計上した後に、該当固定資産を売却する場合の会計処理を説明させていただきます。

こちらは、私が勤めている会社で相談を受けたのですが、即答できず、ネット等で調べても、すぐに答えを見つけることができませんでした。

同様の事案が発生し、悩んでいる人の役に立てればと思い、記事にさせていただきます。

 

質問内容:資産除去債務を計上した建物を売却することが決定しいた場合、会計処理はどのようにすればよいですか

定期借地権付き土地に事務所を建設していたため、契約期間満了時に更地にするための資産除去債務を計上していました。

近々、契約満了を迎えるため、更地にし所有者に土地を返還することを考えていました。しかし、返還する情報が外部へ伝わり、建物付きで土地を購入したいとの第三者が現れました。

現在は交渉中のため、最終的にどうなるか分からないですが、建物付きで第3者に売却した場合には、更地にして返還する必要がなくなります。

その場合に、現在計上している資産除去債務はどのように会計処理するのかとの相談がありました。

 

質問への回答:特別利益に計上します。

今回は解体することを想定していたが、急遽売却先が見つかったとのことであり、予期しない異常な原因に該当すると判断し、特別利益に計上します。

回答理由・根拠

今回の事案に該当する会計基準は、「資産除去債務に関る会計基準」58項なお書きになります。当基準は下記のとおりです。

 

58. そのため、本会計基準では、資産除去債務計上額と実際の支出額との差額は、当該資産除去債務に対応する除去費用に係る費用配分額と同じ区分に含めて計上することを原則とした(第 15 項参照)。
なお、当初の除去予定時期よりも著しく早期に除去することとなった場合等、当該差額が異常な原因により生じたものである場合には、特別損益として処理することに留意する。

 

上記のことから、今回の解体することを想定していたが、急遽売却先が見つかったとの事案は、予期しない異常な原因に該当すると判断し、特別利益と計上することになりました。

具体的には、下記の仕訳です。

資産除去債務 XXX円/特別利益 XXX円

 

なお、実際に 「資産除去債務に関る会計基準」58項なお書き を適用する場合には、該当の事案が異常な原因になるかを事前に公認会計士等に相談しておくことをお勧めします。

 

説明は以上となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。