企業内会計士の日々

企業内会計士(管理職)として、日々の質問対応結果(会計・税務中心)を記事にするブログです。同じことで悩んだ人の役に立てればと思ってます。たまに、書評や日々のアイデアも記事にします。

【税務】消費税 工事の請負等の経過措置について(契約締結から引渡しの期間が長期になる場合の対応)

 

【税務】消費税 工事の請負等の経過措置について(契約締結から引渡しの期間が長期になる場合の対応)

2019年10月1日から消費税の増税が予定されています。

そこで、工事の請負等の経過措置について質問がありましたので、その質問の回答結果を記事にさせていただきます。

なお、前提としては、その部署では、基本的には工期が1年未満の工事の請負等を取引している部署となります。

 

質問内容:契約締結から引渡しの期間が長期になる場合の「工事の請負等の経過措置」の適用可否について。

工事の請負等の経過措置の適用がある取引をしている部署からの質問です。

工事の請負等の経過措置では、2019年3月31日までに締結された契約に基づく請負工事等については、2019年10月1日以後に引き渡しが行われても、消費税率は8%になります。

そのため、2019年3月31日までに締結された契約に基づく請負工事等であれば、引渡しがいつになっても消費税率は8%となるのかとの質問です。

言い換えれば、引き渡しが20年後となっても消費税率は8%となるのかとのことです。

 

質問への回答:経過措置の条件を満たす限り、期間は関係ありません。

引渡しが何年先になっても「2019年3月31日までに締結した契約」であれば、消費税率は8%になります。

回答理由・根拠

工事の請負等に関する経過措置の適用可否の判断に当たっては、「2019年3月31日までに締結した契約」と「2019年10月1日以後の引渡し」との要件しかないため、今回の回答になりました。

すなわち、契約締結から20年後(2039年3月31日)の引渡しとなっても、「2019年3月31日までに締結した契約」であれば、消費税率は8%になります。

なお、この経過措置の対象は、当初契約(原契約)のみが対象となるため、「契約変更により対価の額が増額された場合」や「追加工事により対価の額が増額された場合」については対象とならないため、注意が必要となります。

 

「契約変更により対価の額が増額された場合」

経過措置の対象は当初契約がベースとなるため、増額部分は引渡しがあった日における税率によります。

例:当初契約100万円、2019年4月10日に変更契約により20万円増額(引き渡しは2019年10月1日以後)

 ⇒この場合は、100万円部分は8%であり、20万円部分は10%になります。

 

「追加工事により対価の額が増額された場合」

経過措置の適用可否は契約ごとの判断となるため、追加工事の契約締結日ごとに経過措置の適用可否の判断を行うことになります。

例:当初契約100万円、2019年4月10日に追加工事契約20万円と締結(引き渡しは2019年10月1日以後)

 ⇒この場合は、100万円部分は8%であり、20万円部分は10%になります。

 

以上が質問に対する回答になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。